夜が明けたら

こうやって…待っているうちに…、いずれ、夜が明けたら…。

英語で"eurhythmics"ですってという話

赤い公園の2ndフルアルバムというの、今年の9月末に発売していた。「猛烈リトミック」である。猛烈というのは分かるけれど、リトミックって知らないじゃない。ググルじゃない。フランス語らしいじゃない。英語で”eurhythmics”ですって。

ははぁ。フランス語ではHの音を発音しないというからカタカナにすると「リズミック」というところが「リトミック」になるんだなぁ。英語になればちょっと分かるね。「リズム教育」ですって。教育されるんですね。というわけで「猛烈なリズム教育」を施されると思いましょう。 

猛烈リトミック

猛烈リトミック

 

 

NOW ON AIR

「写真あげている」という歌詞がある。この部分だけ切り出すと意味が分かりづらいのだが、写真をInstagramTwitterFacebookか知らんけれど、Webで共有しているということらしい。若い歌詞ですね。新鮮です。

公式のページにPVがあがっているのだが、いつだったかのAKB48のPVよりも、よっぽど女の子らしさが生々しく、なるほどそういう意味では確かにロックバンドであって、しかし、これを男性が覗いていいものかという恐怖がある。カットごとに女の子の位置関係が変わり、言うまでもなく何度かテイクしているのだろうけれど、まぁ楽しい。

絶対的な関係

1曲目に続けて気持ちのいいジャカジャカで曲が始まる。シングルカット(カットじゃないのかな?)されている曲かな。サックリと終わる曲ですけれども「中の人」というのが登場する。1曲目でもそうだったけれど、これもネットで使われるところのキーワードと思って間違いないだろうし、割と時代性の強い言葉であるなぁと思うワケです。絶対的な関係は、100秒で終わります。

108

このアルバムでも1番好きな部類の曲ですね。リトミックされている気がします。曲タイトルと歌詞を聴けば、よほど幸せなひとでない限りは仏教的なテーマが元ネタであるということに自然となります。まぁ女の子が歌詞を書いているわけですし、悟りを開いたシッダールタというのはおそらく男性でしたでしょう。

つまり歌詞の対象となっている彼女の恋愛対象も男だと思っていいと考えられますが、その男はまるで悟ったかのような、つれない男になっているのでした。しかし、彼らの関係は破綻しているようでもないので、そこまで絶望的な感じもしない。「絶対的な関係」が恋の歌かは知らないけれど、108は恋の歌ですね、そうですね。

いちご

スローなナンバーと言っていいのか知らないけど、そういう曲ですね。で、この曲くらいからは歌詞や演奏よりもボーカルの佐藤さんの歌声が気になってきます。好むと好まざるに関わらず、歌い方がいままでとちょっと、かなり、大分違っているなと思わされます。もちろん曲によるのだろうけれど、いや、つまり歌うのが巧くなっています。ソワソワします。好むと好まざるに関わらず、です。

誰かが言ってた

引き続いて、佐藤さんの歌声にソワソワさせられます。この辺からポップな曲が珍しくも(珍しいのかな?)しばらく続くように思われるのだけれど、歌い方もそういう曲に合わせられているように思える。極端にキュートでもないものの、一方で、彼女の素の歌い方でもないような。

「要するほどに」という歌詞があって、おそらく間違ってはいないと思うのだが、おそらくこれだけでも、前後の歌詞と合わせてもあまり通じる言葉ではないような気がして、それだけ気になった。「わぁー」「がぁー」が好ましい。のちに歌われる「楽しい」よりもこちらのほうが楽しかったな、個人的には。

ドライフラワー

赤い公園のこういう音が好きだなと思っている身としては親しみやすい曲ですが、歌詞は特に独自性の強い部類に入っているので、立ち入るのは止めておきましょう。サビ(どこか分からないけど)の佐藤さんの声も、やぁ、やっぱり丁寧になっているなぁと実感させられるのでした。

TOKYO HARBOR feat.KREVA 

1曲目の「NOW ON AIR」よりも地に足の着いた歌詞とメロディで、すごくプロの1曲です。

KREVAさんのラップが入ってくるところで初めて聴いたときはビックリしたものの慣れてくると心地がいい。「NOW ON AIR」を聴いていても感じさせられるが、東京というの、否応がない。

ひつじ屋さん

佐藤さんの巻き舌の部分だけを取り出してリピートして聴きたいですね。これも好きだなぁ。しかし、不思議と消化不良のような後味が残るのはなんででしょうね。子守唄だと思えばそういうものかもしれない。歌詞カードには「めーめー」という部分が記載されているようだけど、演奏では楽器と交ざり合っていく。寝る前に聴きたいですね。やさしい歌です。

サイダー

えーっと、これもシングルになっている曲かな。おそらくポップ調で、多分にJ-POPっぽい曲です。夏の曲なんでしょうね。どこかで流れていたのかな。一通り感想をまとめたあとにアレコレ読んでみると、このアルバムはJ-POPらしさにも一目置いているところがあるらしく、公式の津野さんの言によれば「NOW ON AIR」がJ-POPらしい曲だとのこと。やぁ、この曲こそ。

楽しい

楽しいと思うから楽しいのだという感じですね。コンビニで買った缶ビールをどうのという表現をみるに、おばさんが入り始めている情緒を感じる。演奏のことはあんま分からないけれど、中盤の間奏で「相対性理論」で聴いたことがあるようなフレーズがあって耳に残ります。

牢屋

タイトルが奇妙ですね。「牢屋」って聞いて最初に思い浮かべるの、ドラゴンクエストとかですか。イントロはロックバンドですね、多分。なんですか、神田川のような内容になっていますが、ろくでもない人間関係だなぁと思います。

お留守番

全体的に既知感を覚えるんだけど、なんなんでしょう。算数のドリルを1人でやっているという情景はおそらく子どものものなのだろうけれど、外泊するあなたというのは子どもの表現じゃないので、ドキッとしますね。

風が知っている

「お留守番」と似たような感触がある。どちらかといえば好みではあるんだけど、なんなんでしょう。細かい音の加工などは分かりませんが、ゲーム音楽みたいな感じになっていないかな。あるいはアニメなどで使われそうな感じですか。

イントロの歌川さんのドラムがカッコいいなぁ。というか歌川さんて苗字がカッコいいなぁ。広重か。あれ、この曲が1番好みかもしれないなぁと思うと、やっぱりこのバンドらしい曲だからでしょうか。しかし佐藤さんの歌声がやっぱり進化している。うーん、この。最後の音がいいですね。

誰の情操教育

以上。ごく限られた好みの音楽しか聴かないし、自分で演奏することはないので分からないが、アルバム全体としては、赤い公園の個性的な部分というよりは楽曲のレパートリーを広げてきた作品なのだなというのがあります、公式のテキストなどをみれば、なおさら。

少しずつ記したけれど、ポップな曲も多いので少し戸惑う。そんなところに情操教育を感じます。とはいえ、なんといってもメンバーのみなさんがまだ20代も前半の若いバンドなんですよね。

このアルバムの特設サイトなどもかなり力を込められており、諸々を読んでみると、どうもアルバムタイトルは彼女たち自身にも投げかけられているようなので、そこは意識しておきたいかな。

次のアルバムがあるとすれば、歌詞が扱うテーマなどはもっと具体的になりそうなのでそこは楽しみですね。恋愛でも感傷的な歌でもいいですけれど、それでもきっと今回よりはさらに何らかの意味が添えられるはずだから。

ひととおり楽しんだら読む

というわけで、このアルバムは気合いが入っているらしいので、関連情報も多いです。自分が読んだ分だけだけど、以下にリンクを残しておきましょう。1番最後の蔦谷さんとの対談はいいですね。アルバムの趣旨がよく分かる。