夜が明けたら

こうやって…待っているうちに…、いずれ、夜が明けたら…。

「昔、男」むかし おとこ Mukashi Otokoの話

講談社学術文庫で「伊勢物語」を読んだ。この作品は中学校の国語の授業で扱われていたので「かきつばた」は読んだことがあった。高校の課程や大学受験などでは登場することはあっただろうか。あったのだろうけれど、忘れてしまった。

伊勢物語 下 (講談社学術文庫 415)

伊勢物語 下 (講談社学術文庫 415)

 

 

在原業平が主人公という話であることは知っていたつもりだったが、全体を通してみるとそうでもない。というか、非常に成立が曖昧な作品なんだということを理解しておらず、面食らう。学生時代の古文の授業は好きでも嫌いでもなく、得意でも不得意でもないといった程度だったが、作品の背景の説明などまったく覚えてないな。教わったかしら。

伊勢物語のような和歌を連ねてひとつの物語を描くような作品を「歌物語」と呼ぶそうだが、解説を読むと厳密に歌物語と呼べる作品は「伊勢物語」のほかには「大和物語」くらいだそう。

Wikipediaの項目で「主な歌物語」を覗くと、もう少しくらいある。

伊勢物語」は実在した在原業平と彼の残した歌を中心に、彼の作品でない歌なども織り交ぜつつ、フィクションを形成している。原本とされるものは現存していないが、いくつかの写本が残っており、それぞれ微妙に採取されている物語が異なるということらしい。こういう物語の形態というのは、もう作られないよねぇ。

この物語に「伊勢」と付いた理由だが、これも諸説あるとのこととなっている。しかし、やはりというか「伊勢」周辺のストーリーが主題的だという説がしっくりくるのではないか。確かに印象が強い。そのほか、零落した貴族の生活ぶりの歌や、皇子が出家する歌などが、おもしろみを感じさせられた。

しかし、ほとんどの歌について対訳がないと厳しいね。